北里大学心理学研究室
主な研究活動
アディクションの心理学的メカニズムの解明に関する研究
【主担当:村瀬華子】
アディクション(主にアルコール・ギャンブル依存症)を引き起こすリスク因子についての研究を行っています。例えば,同じ性別と体重の二人が同じ量のお酒を飲んでも,片方の人だけがアルコール依存症になるのはなぜでしょうか?このような原因を,主に感情制御や幼児期の逆境的体験によるアタッチメント形成の影響などから検証しています。
主な研究の紹介
準備中
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準備中
アディクションの介入方法に関する研究
【主担当:村瀬 華子】
アディクション(主にアルコール・ギャンブル依存症)の介入方法についての研究を行っています。例えば,日本では若者の飲酒・ギャンブルに関する研究が少ないため,介入方法の立案に向けて,若者の飲酒・ギャンブル行動のパターンやそれによって経験しやすい問題の特定を目的とした研究と,これらの問題を測定するための心理尺度の開発研究を行っています。
主な研究の紹介
準備中
準備中
準備中
再犯・再非行防止を目的とした認知行動論的アプローチの研究
【主担当:野村 和孝】
2006年に,明治時代から続く監獄法が改正され,刑事収容施設法(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律)が施行されました。この改正では,性犯罪や薬物犯罪等に対して心理学に基づく再犯防止の取り組み(主に認知行動療法)が盛り込まれました。このような取り組みは,海外で先行して行われており,多くの研究が積み重ねられています。わが国での取り組みも研究を積み重ねて,より良い取り組みにしていくことが必要です。そこで,実験法,調査法,観察法,そして面接法といった心理学研究の手法を組み合わせて,再犯・再非行防止を目的とした認知行動論的アプローチの精緻化に取り組んでいます。
主な研究の紹介
累犯刑務所における薬物依存離脱指導の効果性に関する研究
累犯刑務所における薬物依存離脱指導の効果性を明らかにすることを目的に実験研究を行いました。認知行動療法に基づくプログラムが再使用リスクを減少させることに加え,マインドフルネス方略や価値の明確化の要素を付与することによって効果性を高めることが明らかとなりました。
性犯罪再犯防止のための心理学的アプローチの研究
性犯罪再犯防止を目的とした心理学的アプローチの効果性を明らかにすることを目的に,認知行動療法の観点から研究を行いました。日常生活の安定を意図したアプローチが必ずしも再犯防止に寄与しないこと,被害者理解を促すアプローチの効果性もまた再犯防止に寄与しないことなど,一般的なイメージと異なる結果が明らかとなりました。
窃盗症(クレプトマニア)への心理学的アプローチの研究
窃盗症(クレプトマニア)への心理学的アプローチの効果性を明らかにすることを目的に,認知行動療法の観点から研究を行いました。症状を測定する尺度(K-SAS)の日本語版の開発を行い,その後,認知行動療法に基づくプログラムの効果性の検証を行いました。
家庭内暴力(DV)への
心理学的アプローチの研究
Igarashi et al.(2023) 10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies
五十嵐他(2024)認知行動療法研究
など
家庭内暴力(DV)への心理学的アプローチの効果性を明らかにすることを目的に,認知行動療法の観点から研究を行いました。アクセプタンス&コミットメントセラピー(Acceptance and Commitment Therapy : ACT)の技法を用いることによって,従来のアプローチ法と比べて,攻撃行動の低減効果を高めることが明らかとなりました。また,ACTを従来のプログラムと比較した複数の研究を対象としたメタアナリシスを実施したところ,攻撃行動の低減効果が高いことが確認されました。一方で,プログラムからの脱落率は,ACTと従来のプログラムは同程度であり,今後の課題の1つであることが明らかとなりました。
再犯・再非行防止に取り組むスタッフへの支援の拡充研究
【主担当:野村 和孝】
2016年に,再犯防止推進法(再犯の防止等の推進に関する法律)が施行されました。この法律は,刑務所や少年院を出た人への支援の充実を狙いとしています。刑務所や少年院などの施設内と施設を出た後の社会内の双方において、再犯・再非行防止に取り組むスタッフの果たす役割への期待は大きくなっています。一方で,再犯・再非行防止に取り組むスタッフの負担は少なくないのが現状であり,スタッフへの適切な支援の拡充に取り組む必要があります。そこで,実験法,調査法,観察法,そして面接法といった心理学研究の手法を組み合わせて,再犯・再非行防止に取り組むスタッフの支援の拡充に取り組んでいます。
主な研究の紹介
再犯・再非行防止指導における指導者が抱く葛藤尺度の開発
安部他(2020)犯罪心理学研究
再犯・再非行防止指導における指導者が抱える負担を明らかにすることを目的に,葛藤を測定する尺度開発の調査研究を行いました。対象者に抱く不快感情,職場環境への不満,職務待遇の不公平感,自身の生活への侵入体験の4つの葛藤を抱えていることが明らかとなり,測定可能な尺度を開発しました。
再犯・再非行防止指導における実施スキル遂行に影響をおぼよす要因の検討
星野他(2020)犯罪心理学研究
など
再犯・再非行防止指導において実施スキル遂行に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的に,調査研究を行いました。指導者が抱える葛藤に加え,規範意識などの心理的要因がスキルの遂行に影響していることが明らかとなりました。
その他の取り組み
当研究室では,上記の4つの研究テーマに加え,アディクションや再犯・再非行防止に関する様々な研究に取り組んでいます。
主な研究の紹介
薬物乱用防止教室の研究
今泉他(2024)日本ストレスマネジメント学会第22回学術大会・研修会
高校生を対象にストレスマネジメントを組み込んだ薬物乱用防止教室を実施し効果検証を行いました。違法薬物だけではなく,市販薬乱用の問題も紹介し,市販薬乱用の問題性の理解を深める効果を高めました。また,ストレス対処法の獲得を促し,対人依存傾向の低い生徒に対しては薬物の誘いを断る自信を高めることが確認されました。この研究は,日本ストレスマネジメント学会第22回学術大会にて特別研究生の今泉奈緒さんが優秀発表賞を受賞しました。